堀辰雄を知る
堀辰雄を知るためのガイド的な本をざっと集めてみました。堀辰雄ガイド文学史総合文学者総合図録

■色の文字はオビや裏表紙に載ってる紹介文、キャッチコピーです。■色の文字は目次です。
※書籍画像はクリックするとamazonサイトに飛びます。

※お気に入り度を★5つ満点で表示してますが、とにもかくにも気まぐれ管理人のことなので何の参考にもなりません。
※「形態」は管理人が所有している書籍の形態を記載してます。なのでハードカバーとあっても文庫版が出ていたりその逆もあるかもなのでご了承ください。
※「発表年(初出)」は巻末に記載されている初版年月日を写しました。なので西暦と和暦が入り混じっててすみません。基本的に刊行された順に並べてます。

堀辰雄ガイド
タイトル・著者 出版社  形態 発表年(初出)
堀辰雄・人と作品
編/福田清人
清水書院 新書 1966.4.30

 ★★★★
近代文学を生き生きととらえた作家の生涯と作品を紹介・爽やかに愛と詩情を描く
第一編 堀辰雄の生涯
・詩人の出発(生いたちの秘密/少年時/友情/軽井沢と犀星/師・芥川龍之介/母の死・詩人の出発) 
・死の季節(夏の休暇・愛の最初の徴候/「驢馬」の仲間たち/堀辰雄と読書/芥川の死/不器用な天使/死の季節) 
・美しい村(プルースト・神戸への暗い旅/美しい村・軽井沢/愛と死/「風立ちぬ」とリルケ/「菜穂子」とモーリヤック/「四季」の人々/堀辰雄と若き詩人たち) 
・レクイエム(王朝文学・悲劇の女性/大和路・信濃路/杉皮の家/終焉の地/敗戦・瀕死の床/悼詞)
第二編 作品と解説(詩/聖家族/燃ゆる頬/美しい村/風立ちぬ/かげろふの日記/幼年時代/菜穂子/曠野/堀辰雄の世界)
年譜 参考文献 さくいん

近代日本の作家とその作品を解説した教養書。現代文理解の鍵として若い世代のために刊行されたシリーズなので教養書といってもそんなに堅苦しくなく、読みものとして楽しめる一冊。(ただし若い世代向けといっても「当時の」若い世代向けだからそう生易しくはないぞ)基本的にあっさりと、しかし要点はきちんと押さえて紹介されてるので初心者におすすめです。実際私は堀辰雄に興味を持った当初、教科書と参考書と、自宅の古い書棚から発掘したこの本だけが頼りだった。
2017年9月10日に新装版が出ました!
カラーブックス名作の旅5堀辰雄
小久保実・中村真一郎
保育社 ソフトカバー文庫 S47.8.1

 ★★★
はしがき:中村真一郎
「美しい村」軽井沢/「風立ちぬ」富士見高原/「木の十字架」軽井沢/「旅の絵」神戸/「菜穂子」追分・軽井沢・富士見/「ふるさとびと」追分/「晩夏」野尻湖/信濃路「樹下」追分・中宮寺/「斑雪」野辺山高原/「辛夷の花」木曽/「橇の上にて」志賀高原/「姨捨」姨捨/「倉敷」倉敷/大和路「十月」奈良/「古墳」飛鳥/「浄瑠璃寺の春」京都・九体寺/「幼年時代」東京・向島/
堀辰雄・人と作品:①生い立ち②関東大震災と母の死③文学の師④大正14年の軽井沢⑤文学の仲間たち⑥青春の季節⑦『聖家族』の魅力⑧フローラとフォーナ⑨「四季」と抒情詩⑩モオリアックとリルケ⑪鎮魂の歌-『風立ちぬ』⑫王朝文学への関心⑬結婚生活⑭『菜穂子』⑮大和への旅⑯戦後/
堀辰雄年譜
昭和の高度成長期に人気を博し広く普及した文庫サイズのカラー図鑑「カラーブックス」。うちにも野鳥とか野草とか恐竜の本があったなあ。この「名作の旅」シリーズは、文学作品の舞台となった各地の美しい風景写真を紹介しながら名作を味わう旅ガイド。堀ファンとはいえ聖地巡礼するほどの情熱はない私(しかも旅ぎらい)もこの本を読むと「行ってみたいな」と思っちゃう。巻末の堀辰雄案内と年譜もコンパクトながら充実してます。  
 堀辰雄 その愛と死
小川和佑
旺文社 文庫 1984.1.25

 ★★★
『風立ちぬ』『聖家族』『菜穂子』などの作品で知られる堀辰雄の生涯を、幼少の地向島、作家としての彼を形成した軽井沢、そして奈良大和路を実際に歩き、描いた書きおろし評伝。堀辰雄をめぐる女性達、芥川龍之介らとの交わりと死。激動の昭和初期を時に華やかに、また悲しみの中に生きた堀辰雄の素顔を、写真・地図をまじえ立体的に綴る。
PROLOGUE-信濃追分の夏-追想の堀辰雄
Ⅰ生の意識-生涯のフィルム 軽井沢風景/幼年時代-下町の父子像/麦藁帽子の季節/下町育ち/室生犀星
Ⅱ作家の出発 震わが母を見わけぬうらみかな/母、志気の死/軽井沢・文学サロン/作家の出発
間奏曲その1・あひ見ざりせば…芥川龍之介の恋 おもかげの芥川龍之介/松村みね子はきのふ来にけり/野に架る虹
間奏曲その2・『聖家族』まで-芥川龍之介の死 現し身を嘆ける/再び夏に/秋風高原
Ⅲ詩的饗宴の季節 天使たちが…/浅草狂詩曲
Ⅳ絵のなかの少女 「毛の帽子」の少女/心理主義の快楽-堀辰雄の虚実/若葉の輝き
Ⅴ風立ちぬ 美しい村/アカシアの並木/補説・青春の書-『美しい村』『風立ちぬ』
Ⅵ幸福の谷-愛の始め・愛の終り 短夜の看とり給ふも…/富士見高原にて/桜沢越冬-鎮魂曲
Ⅶ四つ葉のクローバー 牧歌/軽井沢山荘の初夏/折口信夫・古典への愛
Ⅷ旅への誘い 古都の青葉/静かなる意志/旅への誘い
Ⅸ大和路への旅 古寺幻想/佐保道の秋/妻への手紙/秋篠寺・ある深淵/補説-大和しうるはし
Ⅹ花あしび 続・妻への手紙/木曽路の雪/浄瑠璃寺の春
epilogue  あとがき

堀辰雄の生涯を「小説風」ドキュメントとして描いた作品。ところどころ著者オリジナルの脚色や解釈(憶測)が入ってるので必ずしも事実そのままではないれけど、ひとつの物語として追うことで彼の人生をより身近に感じられます。ただ気になったのが片山総子の肩を持ちすぎなところ。堀辰雄の(自称)“不良時代”の恋人たちのことを「黒い天使」、総子を「白い天使」に喩えてるけど、与えたダメージを思えば圧倒的に総子のほうが暗黒天使。   
新潮日本文学アルバム17堀辰雄 新潮社 ハードカバー 1984.12.20
  
オススメ!★★★★★
今世紀初頭の西欧文学と日本古典の教養に裏打ちされた「物語(ロマン)」の本道を求め続けた堀辰雄の「美しい村」「風立ちぬ」「菜穂子」…常に死と向きあって生きた48年の生涯と堀文学の持つ澄明な美と強靭さを探る
数学志望から文学志望へ(明治37年・出生~大正13年)
師・芥川龍之介の死を超えて(大正14年~昭和5年)
ロマンへの意欲(昭和6年~昭和11年)
鎮魂の祈り(昭和12年~昭和14年)
「菜穂子」の構想と実現(昭和15年~昭和17年)
「ふるさと」信濃・大和(昭和18年~昭和28年・死)
評伝:小久保実
エッセイ:「一枚の写真―父の手紙」萩原葉子
略年譜 主要参考文献 主要著作目録

作家の生涯と作品を写真で紹介するシリーズの一冊。幼少期から晩年までのいろんな堀さんの姿が拝めます。原稿、手紙、初版本、そして彼が過ごし旅した各地の風景など貴重な写真がてんこもり。巻末の年譜・参考文献・著作目録も便利で、この一冊で堀辰雄の人となりがほぼわかるファン必携の書。イチオシです。 
堀辰雄事典
編/竹内清己
勉誠出版 ハードカバー H13.11.10

★★★★ 
東西文化を柔軟に受容して、日本人の本然の生の強さと輝きを遺憾なく表現した文学と、堀辰雄の人生を読み解く決定版。
対談・堀辰雄の文学と生活譜(堀多恵子・竹内清己)/堀文学と私(小久保実)/堀辰雄二題(池内輝雄)/
Ⅰ作品の譜…一、小説 二、詩・随筆 他
Ⅱ文学の譜…一、文芸思潮 二、同人雑誌 三、方法・ジャンル
Ⅲ出典の譜…一、西欧文学 二、西欧文化 三、日本古典
Ⅳ人地の譜…一、親族 二、師事 三、交友 四、承継 五、地域
Ⅴ自然・環境の譜…一、自然 二、動植物 三、環境
Ⅵ生活・情趣の譜…一、生活 二、情趣
Ⅶ資料の譜…訂補堀辰雄年譜(谷田昌平編)/堀辰雄研究参考文献目録(岡崎直也編)/あとがき/索引

堀辰雄初の事典。五百ページ以上に渡って堀辰雄情報がどっしりぎっしり詰まってます。全著作の内容や評価、周辺人物らのデータが一冊で把握できるスグレモノ。しかし学術的な内容について相当ページが割かれているのでちょっと持て余す。9800円というお値段もちとキツイ。本格的な文学研究でもするのでなければ、Ⅰ作品の譜、Ⅳ人地の譜、Ⅴ自然・環境の譜、Ⅵ生活・情緒の譜、そのへんだけ読んで楽しめばよし。私はそうした。

文学史総合
タイトル・著者 出版社  形態 発表年(初出)
田端文士村
近藤富枝
中央公論新社 ※文庫 S50.9月

 ★★★★
大正三年、田端に居を定めた巨星・芥川龍之介を慕い集う室生犀星、萩原朔太郎、堀辰雄、中野重治ら多くの俊秀たち。美術村田端をたちまち文士村に変貌させた人間芥川の魔術師的魅力に迫り、芸術家たちの濃密な交流を活写する。膨大な資料と証言でまとめあげた澄江堂サロン物語。
第一章 夫婦窯(飛鳥山焼/吉田三郎/老いらくの恋)
第二章 未醒蛮民(ポプラ倶楽部/反戦画家/老荘会/異形の天才)
第三章 「羅生門」の作者(天然自笑軒/一枚の絵/文壇登場)
第四章 詩のみやこ(感情詩社/詩から小説へ/山羊少年)
第五章 作家たち(「無限抱擁」/芥川と室生/暮鳥忌)
第六章 隣の先生(しこの鬼妻/籐のステッキ/東台クラブ)
第七章 道閑会(鹿島龍蔵/会員たち/北原大輔)
第八章 王さまの憂鬱(空谷山人/『井月句集』/縞絽の羽織/行燈の会/白衣)
第九章 関東大震災(午前十一時五十八分/自警団/しの竹の家/辰っちゃんこ
第十章 藍染川畔(大正十四年/メルヘン)
第十一章 「驢馬」の人たち(犀星をとりまく美青年群/パイプの会/カフェー紅緑)
第十二章 巨星墜つ(暑い日/我鬼/蝉の声)
付・田端の女性たち
おわりに
解説:植田康夫
年譜 主要参考資料 田端付近略図

芥川龍之介が住んだ田端という特定エリアを舞台に、近代文学史を一編の読み物として描く作品。もちろん主人公は芥川龍之介。理知的でクールな従来の作家像とは一線を画す面倒見のよい江戸っ子気質の芥川の素顔が描き出されてておもしろい。萌えエピソードも満載で、芥川ファンにとってはまさにバイブル的一冊。でも堀ファンの私には堀辰雄が登場する第九章「辰っちゃんこ」からが本編。かわいいよ辰ちゃんこ。
信濃追分文学譜
近藤富枝
中央公論新社 ※文庫 1990.4月
 
オススメ!★★★★★
芥川龍之介・室生犀星を根とし、堀辰雄を幹として成長した、津村信夫・立原道造・野村英夫らの若き日の軌跡。信州追分を舞台に数々の名作を生んだ作家・詩人たちの濃密な交流を、自らも追分の山荘に住む著者の綿密な取材を通して浮き彫りにする。
花鬘の章/分去れの章/ゆふすげびとの章/夢のあとの章/「菜穂子」の章/黄菊散るの章/
あとがき
解説:大河内昭爾
主要参考資料

時系列的に「田端文士村」の続編ともいうべき作品。こちらの主人公は我らが堀辰雄さま。芥川が田端の王様なら、堀辰雄は信濃追分の菩薩様。著者自身の追分暮らしのエピソードなども織り込みつつ、「田端文士村」よりぐっと抒情的に、より伸びやかなタッチで文学者たちの交流が描き出され、堀辰雄と彼をとりまく人々の個性豊かな輪郭が身近なイメージで浮かびあがってきます。その姿は時に切なく痛ましく、それでもひたすら温かい。実際のエピソードにささやかなアレンジ(憶測)を加えた部分もあるけれど基本的に事実に沿った、価値ある、しかも楽しく読める近代文学史物語。堀辰雄ファン必読です。   

文学者総合
タイトル・著者 出版社  形態 発表年(初出)
文豪男子コレクション 株式会社レッカ社 単行本(ソフトカバー) 2015.5.9

★★★
私たち、文豪さんを愛しています 「スキャンダラスな恋をしたり」「ワガママで人を振り回したり」「食い意地がはっていたり」「愛情深かったり」と…あぁ、かわいい♥/オールカラーイラスト&1コマ漫画で新たな一面が見つかる!◆文豪の作風、生き方から擬人化!&構成要素を解き明かす‼◆どのような人生を歩んだか、人間関係がひと目で丸わかり!◆親しい人から明かされる文豪たちの意外な姿や恥ずかしい過去が判明⁉◆作品にかける摯実な姿を辿る!
明治時代:森鴎外/夏目漱石/尾崎紅葉/泉鏡花/小泉八雲/国木田独歩/明治時代に活躍したその他の文豪
コラム:日本の思想家・評論家~明治時代を中心に~
大正時代:芥川龍之介/菊池寛/志賀直哉/梶井基次郎/島崎藤村/室生犀星/大正時代に活躍したその他の文豪
コラム:海外の文豪
昭和時代:太宰治/中島敦/江戸川乱歩/堀辰雄/谷崎潤一郎/中原中也/宮沢賢治/坂口安吾/織田作之助/昭和時代に活躍したその他の文豪
文豪資料

「文豪萌え」なる昨今のブームに明らかに乗っかった一冊。我が目を疑う異次元イケメンと化した文学者たち!に萌えるもよしドン引くもよし。ひとコマ漫画や相関図・構成要素を用いて各人の特徴をざっくり図式化。堀辰雄は眼鏡、帽子、マスク(病弱)という基本アイテムを押さえた可愛い系キャラ。萌え袖と半ズボンでさらに仕留めにかかってきます。もういいや可愛いんならなんだって。(思考停止)堀辰雄の構成要素が「芥川」「病弱」「軽井沢」「古典への傾倒」というのもまあ納得です。ひとコマ漫画で師匠芥川について芥川うちわ(ジャニコンとかでファンが持ってるやつ)を手にペラペラ語る堀さんは若干キャラ崩壊してる感があるけど。太宰みたいな一方的ミーハー芥川ファンとはわけがちがうんだぞ。まあ文学者に親しみを持ってもらうための本だしこの程度のおふざけは仕方ないか。ちなみに芥川さんは病み系ロン毛イケメンでした。
「文豪」がよくわかる本
監修/福田和也
宝島社 単行本 2016.4.21

★★★
ゲスだっていいじゃないか文豪だもの 坪内逍遥から三島由紀夫まで50人の偉大な業績の裏に隠された素顔 50人の文豪たちの知られざる人生譚から代表作のあらすじと解説までこの一冊ですべてがわかる! 「人間失格」は太宰治だけじゃなかった…「イギリスで狂った!」と噂された夏目漱石・「俺に頭を下げさせた奴は死ね!」石川啄木の叫び・クリスチャンなのに妻妾同居していた国木田独歩・「俺に童貞を捨てさせろ!」梶井基次郎の初体験・中原中也は、仕事もせずに女をめぐり殴り合い・「イケメンは罪」同性教師に迫られる井伏鱒二
明治の文豪:坪内逍遥/二葉亭四迷/夏目漱石/正岡子規/森鴎外/幸田露伴/小泉八雲/広津柳浪/尾崎紅葉/国木田独歩/樋口一葉/島崎藤村/田山花袋/徳田秋聲/泉鏡花/与謝野晶子/明治文豪相関図
大正の文豪:有島武郎/永井荷風/高村光太郎/石川啄木/萩原朔太郎/芥川龍之介/谷崎潤一郎/菊池寛/武者小路実篤/志賀直哉/内田百閒/室生犀星/岡本かの子/広津和郎/佐藤春夫/大正文豪相関図
昭和の文豪:宮沢賢治/井伏鱒二/横光利一/江戸川乱歩/夢野久作/川端康成/梶井基次郎/小林多喜二/林芙美子/堀辰雄/中原中也/中島敦/坂口安吾/太宰治/幸田文/大岡昇平/織田作之助/阿部公房/三島由紀夫/昭和文豪相関図
日本文学史
戦後日本文壇史
世界の文豪
参考文献

こっちは全体的にまじめテイストで、イラストも原型にかなり近いです。が、ちょくちょく巧妙に美化が入ってるのもあって描き手のひいきが見え隠れしてます。「文豪イラストは対象となる作家がもっとも魅力的であったと思われる時代を想定して描かれたものです」「老齢期のイメージとは異なる場合もあります」とわざわざ冒頭に注意書きが載ってます。しかしだったら堀さんイラストが無精髭バージョンなのはなぜ。堀辰雄の髭姿なんてごく親しい人がたまに目撃する程度のレアものだけど。まあ髭面でもイケメンだからいいけど。和装に無精髭という新鮮な男前っぷりにときめいたのも事実だけど。とにかく髭が気になってほかの記事がうわの空。いや、ちゃんと読みました。きわめて無難なつくりで、おちゃらけもなく、「ゲスだっていいじゃないか文豪だもの」というふざけきったコピーに反して文学者入門として問題なくおすすめできる一冊です。髭と相関図の「堀辰夫」という誤字が気になるだけです。   
文豪図鑑
あの文豪の素顔がわかる
自由国民社 単行本(ソフトカバー) 2016.11.3

★★
あの名作を残した文豪たちの愛すべき素顔がここに明かされる!!夏目漱石や太宰治といった有名な文豪25人に加え、歴史に残る明治時代以前の文豪や、海外の有名文豪たちも勢ぞろい!人間味溢れる素顔から代表作のあらすじと解説までバッチリわかる!!
明治の文豪:夏目漱石/森鴎外/島崎藤村/国木田独歩/尾崎紅葉//泉鏡花/小泉八雲/樋口一葉/与謝野晶子/
明治時代の思潮
大正の文豪:芥川龍之介/谷崎潤一郎/志賀直哉/菊池寛/川端康成/梶井基次郎
大正時代の思潮
昭和の文豪:太宰治/宮沢賢治/中島敦/夢野久作/中原中也/江戸川乱歩/坂口安吾/堀辰雄/織田作之助/三島由紀夫
昭和時代の思潮
明治以前の文豪:紫式部/紀貫之/清少納言/鴨長明/兼好法師/松尾芭蕉/井原西鶴/上田秋成/十返舎一九/滝沢馬琴
文豪を偲ぶ 文学忌
海外の文豪:ドストエフスキー/トルストイ/バルザック/スタンダール/シェイクスピア/ディケンズ/ゲーテ/ヘルマン・ヘッセ/フランツ・カフカ/エドガー・アラン・ポー/マーク・トウェイン/F・スコット・フィッツジェラルド/アーネスト・ヘミングウェイ/ルーシー・モード・モンゴメリ

降ってわいた文学者萌えブームにまたもや乗っかった本がここに一冊。近代のみならず古典や海外の文学者までも餌食紹介されてます。原型をかろうじてとどめている人やら完全なる「誰だお前」状態の人やら多種多様。あ、堀さんのキャラデザはいかにもな病弱美青年(眼鏡なし)でとりたてて不服はないです。解説も存外まじめでシンプル、問題ない。問題なのは芥川さんです。いや、キャラデザはふつうです。解説ページに、芥川初恋の人吉田弥生と文子夫人のエピソードを明らかに混同している文章があるんです。いくらおふざけ本でもこんな初歩レベルのミスはまずい。あと文学忌の紹介ページで「5月28日辰雄忌(辰雄)」とありました。原辰雄って誰。何なのマジでしっかりしていやもういいです。人の名前をまちがうなんて腹立つお、と読者に突っ込んでもらうための捨て身のボケだと思うことにしてあげます。

図録
※フットワークの重さに定評のある管理人はこれらの展示会に全く行けてません。図録を取り寄せて喜ぶのみ。
タイトル 発行  形態 発行年
 堀辰雄展

-生涯と芸術- 
県立神奈川近代文学館  B5  昭和62.10.22
開催にあたって 小田切進
全体の構成 中村真一郎
小説へのしたたかな意志 清水徹
「曠野」について 池澤夏樹
三つの窓 鈴木貞美
堀辰雄の手紙 富士川英郎
病床の日々 堀多恵子
カラー図版
生涯 堀辰雄の風景
芸術 堀辰雄の軌跡
部門解説 中村真一郎 谷田昌平
堀辰雄略年表
主な出品物
出品者・協力者
表紙 深沢紅子画「堀辰雄詩集」挿画から
裏表紙 深沢紅子画「堀辰雄詩集」のためのスケッチブックから

国内屈指の総合文学館・神奈川近代文学館が堀辰雄没後35年に催した展示会の図録。深沢紅子さんの表紙絵が素敵。書簡や原稿、ノート等のレアな展示物の写真もたっぷり載っていて大満足の一冊です。
高原文庫 第七号

生誕百年記念
芥川龍之介と軽井沢展
軽井沢高原文庫 A5 1992.7.18
ふたつの芥川像 中村真一郎
対談 芥川さんと軽井沢 堀多恵 室生朝子
インタヴュー つるや旅館と芥川龍之介 佐藤太郎 佐藤次郎
晩年の芥川龍之介 平岡敏夫
展覧会に寄せて 芥川瑠璃子

堀辰雄と縁深い軽井沢高原文庫が発行している「高原文庫」、表紙の題字は堀多恵子さん。芥川龍之介生誕百年記念のこの号では、多恵子さんと室生犀星の娘・朝子さんの対談、前つるや旅館主人のインタビュー等から大正14年夏の芥川龍之介の姿が浮かび上がってきます。伝聞として語られる芥川像は、本人や本人をよく知る人たちが語るのとは一味違うリアリティがあっておもしろい。
 高原文庫 第十九号

生誕100年記念
堀辰雄展
軽井沢高原文庫 A5  2004.7.30 
1 生誕100年記念「堀辰雄展」に寄せて 加賀乙彦
2 エッセイ
 堀辰雄のステッキ 池内紀
 異質な花 木崎さと子
 聖なる文学風土への郷愁 前 登志夫
3 堀辰雄を語る
 ただ一度会った堀さん 岡野弘彦
 初めての手紙 畑中良輔
 私の「風立ちぬ」周辺逍遥 山崎剛太郎
4 堀文学の世界
 書簡に生きた詩的なこころ-堀辰雄とリルケ- 高橋英夫
 フランス語で読む「風立ちぬ」 菅野昭正
 堀辰雄の部屋 安藤元雄
 堀辰雄研究の未来像-北方志向のことなど- 竹内清己
5 堀辰雄年譜のこと 谷田昌平
 回想 昭和二八年五月-六月 加藤俊彦
6 堀辰雄略年譜
7 堀辰雄アルバム抄

同じく高原文庫の堀辰雄生誕100年記念号。寄稿は一部再録もありますがどれも読みごたえあり。特に堀多恵子さんの弟・加藤俊彦氏(東京大学名誉教授)による堀辰雄の葬儀にまつわる回想は非常に興味深いものがありました。
 立原道造

堀辰雄

-往復書簡を中心として-
立原道造記念館 A4  2000.3.25 
ごあいさつ 鹿野琢見
カラー口絵
立原道造と堀辰雄 田中清光
開かれた窓
対話することへの模索
 立原道造の「風立ちぬ」と堀辰雄 堀多恵子
 色鉛筆で考えた思想
 立原道造の評論「風立ちぬ」
レクイエム
 魂を鎮める歌
 「立原道造全集」のこと 小山正孝
「四季」という温床 鈴木亨
参考資料
 目次
 立原道造の作品
 堀辰雄の作品
立原道造・堀辰雄略年譜
出品者・協力者・役職員
主な出展リスト
後記 宮本則子

立原道造記念館の開館三周年記念特別展「立原道造と堀辰雄」の図録。(立原道造記念館は残念ながら現在は閉館しています)黄緑色のシンプルな装丁が美しい。堀と立原の師弟関係を往復書簡を中心に読み解く一冊です。推定8メートル越えのロングレターを受け取った堀辰雄の胸中やいかに。
特別展

堀辰雄
生と死と愛と
鎌倉文学館 A5  平成25.10.5 
快活な亡者の眼差し-鎌倉の堀辰雄 堀江敏幸
第一部 東京に生まれ、軽井沢を愛し、追分に死す
 生い立ち/二人の師、母の死/ロマンへの道/失った生、生まれた愛/未完のロマン
第二部 生と死と愛を描いて
 聖家族/風立ちぬ/菜穂子/かげろふの日記
堀辰雄と鎌倉
略年譜
主な著作
主な展示資料

鎌倉文士のくくりには入れてもらえてないけど鎌倉にゆかりがあると言えないこともない、そんな堀辰雄の没後60年に催された展示会。書簡や著作を通してその人となりや生きざまがとても分かりやすく紹介されています。


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