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ライブラリィ 

堀辰雄の関連書籍を紹介します。
ファン歴20余年に渡ってチマチマ集め続けた結果、けっこうな量になってます。
とはいえ関連書籍全てをコンプリートしているわけではないので、
紹介できるのは管理人が持ってる本だけです、念のため。
しかもその大半がすでに絶版。なにしろほとんど古本屋めぐりで発掘したんだから。
また、関連書籍でも不愉快な本はソッコー売り飛ばしたり空手チョップの練習台になったりしてるので紹介しません。
 

堀辰雄作品…堀作品を収録した書籍。個人全集(新潮社・角川書店・筑摩書房)文学全集各種文庫本その他
堀辰雄を知る…堀辰雄を知るためのガイド的な本を集めてみました。堀辰雄ガイド文学史総合文学者総合図録
堀辰雄を語る…堀辰雄と親しかった人達による思い出話・エッセイ等。堀多恵子堀辰雄周辺の人々
堀辰雄研究…より専門的・学術的な内容の書籍。文芸雑誌堀辰雄メインその他文学者・文学史総合
文学史総合準備中…文学史を扱った書籍全般。ジャンルごちゃまぜ。雑誌/単行本・文庫/教養書籍/学習書/
文学史創作準備中…文学史・作家を扱った創作。マイナーキャラ辰ちゃんこはチョイ役でも出てたらめっけもん。小説/漫画/

■色の文字はオビや裏表紙に載ってる紹介文、キャッチコピーです。■色の文字は目次です。
※書籍画像は「個人全集」「文学全集」(※「ザ・堀辰雄」除く)は写真サムネイル。他コーナーの画像はクリックすると
amazonサイトに飛びます。
※お気に入り度を★5つ満点で表示してますが、とにもかくにも気まぐれ管理人のことなので何の参考にもなりません。
※「形態」は管理人が所有している書籍の形態を記載してます。なのでハードカバーとあっても文庫版が出ていたりその逆もあるかもなのでご了承ください。
※「発表年(初出)」は巻末に記載されている初版年月日を写しました。なので西暦と和暦が入り混じっててすみません。基本的に刊行された順に並べてます。

堀辰雄作品
堀作品を収録した書籍。個人全集(新潮社・角川書店・筑摩書房)文学全集各種文庫本その他
堀辰雄・個人全集
タイトル・著者 出版社  形態 発表年(初出)
堀辰雄全集 全7巻 新潮社 個人全集 1954-1957
  第1巻:小説上(「聖家族」から「風立ちぬ」まで)
第2巻:小説下(「七つの手紙」から「曠野」まで)
第3巻:小品Ⅰ・小品Ⅱ・小品Ⅲ
第4巻:エッセイⅠ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ・Ⅴ・翻譯上
第5巻:翻譯下(詩)・初期作品・習作(詩・小説・小品・エッセイ)
第6巻:翻譯試稿・雜纂
第7巻:創作ノオト・日記・書簡(大正11年-昭和28年)・補遺・年譜 附書誌

堀辰雄没後に出版された最初の個人全集。出版権をめぐって新潮社と角川書店が競り合い、十年後に改めて全集を出すという条件で角川が身を引いたといういきさつがある。美しい装丁と没後まもない堀辰雄ブームの相乗効果で非常によく売れたシリーズ。1964年には編集を新たにした新版(全6巻)も刊行。  
堀辰雄全集 全10巻 角川書店 個人全集 1963-1966
  第1巻:不器用な天使(~昭和4年頃まで)
第2巻:聖家族(昭和4年~7年頃)
第3巻:美しい村(昭和7年~8年頃)
第4巻:物語の女(昭和8年~11年頃)
第5巻:風立ちぬ(昭和11年~13年頃)
第6巻:幼年時代(昭和13年~15年頃)
第7巻:菜穂子(昭和15年~17年頃)
第8巻:大和路・信濃路(~昭和28年まで)
第9巻:書簡
第10巻:堀辰雄案内

堀辰雄2度目の個人全集。角川書店によるこのシリーズはどっしり重厚な新潮版とくらべて手に取りやすいコンパクトな仕様(特装版もある)。中身のほうも新潮版とちがってジャンルを分けず、小説もエッセイもいっしょくたにして発表年順に巻を重ねてあるので、読み進めていくと彼の文学人生を追体験しているようでちょっと楽しい。新たな書簡資料を大幅に加えた第9巻の書簡集、さまざまな文学者関係者の堀辰雄評をあつめた第10巻の堀辰雄案内もファンにはたまらない。
堀辰雄全集 全8巻別巻2 筑摩書房 個人全集 1977-1980
  第1巻:小説上(「不器用な天使」から「風立ちぬ」まで)
第2巻:小説下(「かげろふの日記」から「ふるさとびと」まで)
第3巻:小品・エッセイ
第4巻:随筆・雜纂・初期作品
第5巻:翻譯
第6巻:プレオリジナル(※決定稿と著しく異なる初出誌・再掲誌の全文を収録)
第7巻(上):ノオト上
第7巻(下):ノオト下・日記・補遺
第8巻:書簡(大正11年-昭和28年)
別巻1:来簡集(大正12年-昭和28年)
別巻2:堀辰雄研究

堀辰雄3度目の全集。個人全集が3度も出るのは珍しく、熱心な愛読者が多いという証。(1996-97年には新装版刊行)時を経てさらなる書簡資料と校訂が加わった、まさに「決定版」と呼ぶにふさわしい全集で、特筆すべきは別巻1の来簡集。文学関係者らをはじめ多恵子夫人や知人など一般人からの手紙も収録されていてとても楽しい。(ただ堀文学に大きな影を落としている片山広子とその家族らからの手紙は一切載ってない。広子の長女・総子が収録を拒否したため)別巻2「堀辰雄研究」も、そうそうたる著名人また身近な人々からの多角的な堀辰雄観(論)が楽しめるファン必読の巻。

堀辰雄作品(文学全集)
タイトル・著者 出版社  形態 発表年(初出)
 現代文学大系35
梶井基次郎・堀辰雄・中島敦
 筑摩書房 ハードカバー函入り S39.6.10 

 
収録作品:ルウベンスの偽画/聖家族/美しい村/風立ちぬ/かげろふの日記/ほととぎす/晩夏/菜穂子/曠野/
解説:人と文学・吉田健一
月報:
「思うことなど」堀多恵子/「三種の神器」安岡章太郎
自宅にそろってる文学全集シリーズ。たぶん廉価版。愛想のないドス赤い表紙と独特の古本臭が苦手で、子供の頃からまったく手に取る気がしなかった。(しかも芥川龍之介の巻は乱丁の不良品。もー)堀辰雄の巻は梶井基次郎と中島敦との抱き合わせ。それは別にいいんだけど、解説も月報も微妙に他二人を持ちあげて堀辰雄をそれとなく下に置いてるのが腹立たしい。この巻に関係ない太宰治のことまで引き合いに出してきて、堀のファンは優等生タイプで太宰ファンは落第生タイプ、自分は当然後者である、とか聞いてもいない自己紹介。うざ。堀ファン的には堀多恵子さんの月報寄稿以外オススメどころがひとつもないガッカリ全集。
日本の文学42 堀辰雄集 中央公論社 ハードカバー函入り S39.9.5
 
★★★
収録作品詩/ルウベンスの偽画/窓/燃ゆる頬/聖家族/恢復期/美しい村/風立ちぬ/菜穂子/かげろふの日記/ほととぎす/姨捨/曠野/花を持てる女/大和路・信濃路/雪の上の足跡/プルウスト雑記/リルケ雑記抄/雉子日記/夏の手紙/小説のことなど/更級日記など/伊勢物語など/黒髪山/
解説:遠藤周作 年譜:谷田昌平
月報:「堀辰雄の生活と文学」対談…遠藤周作・堀多恵子/現代文学の流れ…「驢馬」について
中央公論社創業80周年記念出版シリーズの一冊。深沢紅子さんのカラー口絵と挿絵がうれしい。遠藤周作の解説も読みごたえがあり、月報の堀多恵子さんとの対談がまた楽しい。生活者としての堀辰雄の素顔、そしてキリスト教徒であるふたりから見た堀辰雄の宗教観が語られていて非常に興味深い。おすすめ!こんないい本をしかし私はブッ〇オフにて105円で入手。 
日本文学全集20
室生犀星・堀辰雄
河出書房新社 ハードカバー函入り S44.2.28

★★★
 
愛と死への清冽な抒情・苦悩を貫ぬく生の讃歌
収録作品:燃ゆる頬/美しい村/風立ちぬ/菜穂子/詩集/
解説:篠田一士 年譜:堀多恵子
しおり:「室生さんと堀さん」網野菊
通常の文学全集よりひとまわりワイドなサイズ、カラー挿絵と写真入りの豪華な文学全集。でもこれもブック〇フで105円でゲット。室生犀星との師弟コンビの抱き合わせ。収録作品に定番「聖家族」が入っておらず、一方「菜穂子」には「覚書Ⅰ・Ⅱ」までもが入っており、また立原道造のためにつくった「詩集」が序文ごと入ってたりと、なかなかマニアックなチョイス。 解説では「燃ゆる頬」をテキストに堀文学が読み解かれてます。  
新潮日本文学16 堀辰雄 新潮社 ハードカバー函入り S44.11.12

★★★★
収録作品:ルウベンスの偽画/窓/聖家族/あいびき/燃ゆる頬/麦藁帽子/旅の絵/美しい村/風立ちぬ/かげろうの日記/ほととぎす/雉子日記/夏の手紙/卜居/「美しかれ、悲しかれ」/木の十字架/姨捨/楡の家/菜穂子/曠野/花を持てる女/花あしび~樹下・十月・古墳・浄瑠璃寺の春・「死者の書」~/雪の上の足跡/
解説:佐多稲子 年譜:編集部
月報:「堀辰雄伝説」瀬沼茂樹/「堀さんのこと」遠藤周作/
表紙と背表紙に作家のイニシャルがあしらわれた、見栄えのいいクールなデザインの文学全集。書棚にズラッと並べたらさぞカッコよかろう。このシリーズが家にあったら私だってもうちょっと子供の頃から日本文学に親しもうと思えたかも。(それはどうかな)作品もバランスよく収録されててファンにも初心者にも納得のラインナップ。解説が佐多稲子というのも貴重です。そんな貴重な本もブックオ〇で300円で購入。文学全集コーナーの棚に堀辰雄の巻だけ欠けてる、そんなブック〇フを見かけたらそこは私の住んでる町かもしれません。   
現代日本の文学20 堀辰雄集 学習研究社 ハードカバー函入り S45.2.1

★★★★
 
巻頭カラー:堀辰雄文学紀行/「私の中の『美しい村』」遠藤周作
収録作品:
美しい村/風立ちぬ/菜穂子/不器用な天使/ルウベンスの偽画/燃ゆる頬/聖家族/麦藁帽子/幼年時代/三つの挿話/花を持てる女/大和路・信濃路/かげろうの日記/雉子日記/
評伝的解説:中村真一郎 年譜:谷田昌平
月報:「静かなる下町っ子」対談…佐多稲子・堀多恵子/堀辰雄主要文献一覧・紅野敏郎編/「私の『風立ちぬ』」村松英子/堀辰雄旅行ガイド「軽井沢・信濃追分の旅」涌田佑/読者通信「強靭で清潔な魂」東京・学生佐野昇夫
巻頭10ページ以上にわたる美しいカラーグラビア(風景写真)と遠藤周作の文学紀行にまず胸打たれる。巻末の中村真一郎による解説は写真満載で見ごたえ読みごたえたっぷりの感動モノ。月報がまた充実してて、参考文献や旅ガイドまで載ってる上、メインの佐多稲子・堀多恵子対談が楽しいのなんのって。肝心の収録内容が若干謎(初期のマイナー作「不器用な天使」が入ってて後期の人気作「曠野」や「雪の上の足跡」がない)なのが残念だけど、それを補ってあまりあるオマケ(巻頭・巻末・月報)の最強布陣。気に入ってます。この本は堀辰雄にハマった初期の頃に神戸の古本屋で発掘。店番のおじいさんが「おおっ堀辰雄ですか!」とニッコリされたのが嬉しくて、値段がいくらだったか覚えてない。   
日本文学全集13
横光利一・堀辰雄
新潮社 ハードカバー函入り 1971.7.20
 
★★
収録作品:聖家族/美しい村/風立ちぬ/かげろうの日記/菜穂子/曠野/斑雪/
解説:瀬沼茂樹 年譜
月報:
未入手…

先輩・横光利一との抱き合わせ巻。ブッ〇オフで250円でゲットしたけど月報がついてないショボーン。まあ古本は月報がついてるほうがめずらしいんだけど。解説では芥川龍之介をキーワードに、横光-堀という一見接点のない両者を比較しつつ読み解いていて興味深いです。   
日本文学全集50 堀辰雄集 集英社 ハードカバー函入り S47.6.8

★★★
 
収録作品:ルウベンスの偽画/聖家族/燃ゆる頬/麦藁帽子/美しい村/風立ちぬ/かげろうの日記/ほととぎす/姨捨/菜穂子/曠野/大和路・信濃路/雪の上の足跡/
解説:作家と作品・福永武彦 年譜:小田切進
月報:「堀辰雄さんの手紙」中里恒子/「エヤソンホテル」竹中郁/「堀さんの思い出」矢内原伊作
集英社の日本文学全集シリーズの一冊。豪華版と廉価版の2種が出ているもよう。私は豪華版のほうをブック〇フ(またかよ)で105円で買った。オーソドックスな定番作品が収められており、深沢紅子さんの挿絵(再録)もついてるし、愛弟子福永武彦の解説も読みごたえがある安心の一冊。   
作家の自伝52 堀辰雄 日本図書センター ハードカバー 1997.4.5
 
★★
収録作品:Ⅰ向島/幼年時代/花を持てる女/
Ⅱルウベンスの偽画/風立ちぬ(風立ちぬ・冬・婚約・死のかげの谷)/
Ⅲ大和路・信濃路/
解説:竹内清己 年譜:竹内清己

作家の自伝的作品を集めたシリーズの一冊。しかし堀辰雄ほど作品と実生活の相違についてファンやアンチにむやみに憶測され勝手に糾弾されてしまう人もあまりない。そんな人の作品を「自伝」と銘打つシリーズに入れてしまったらまたヤイヤイ言われるんじゃないの、と不安になるが、そこらへんは解説でそれとなくフォローされてる。収録作品も少ないし新たなおもしろエピソードが載ってるわけでもないけれど、つい買ってしまうのがファン心理。  
ザ・堀辰雄 第三書館 B5ソフトカバー 2004.12.25

オススメ!★★★★★
「砂のような雲が空をさらさらと流れていた…」信州追分・軽井沢の透明な爽風の香を文体にすきこんで、文学世界の中心で愛を叫び続けた堀辰雄の全小説全一冊化なる!!
収録作品:風立ちぬ/菜穂子/美しい村/不器用な天使/眠れる人/風景/水族館/死の素描/ルウベンスの偽画/鼠/窓/聖家族/羽ばたき/あいびき/恢復期/燃ゆる頬/馬車を待つ間/麦藁帽子/顔/旅の絵/鳥料理/物語の女/生者と死者/かげろうの日記/幼年時代/巣立ち/おもかげ/姨捨/晩夏/朴の咲く頃/曠野/ふるさとびと/匈奴の森など/雉子日記/山の家にて/卜居/雨後/山日記その1/山日記その2/七つの手紙/木の十字架/四葉の苜蓿/大和路・信濃路/雪の上の足跡/

あおり文句(文学世界の中心で愛を叫ぶ!)に思わず膝をつきそうになるけど、有名作品からマイナー小品までがっちり網羅されてる頼もしい一冊。ごく初期の小品はけっこう省かれてるし書かれた年代順に並んでないのがちょっと残念だけど、読みたい時にさっと手軽に取り出して読めるので重宝します。堀作品入門としては文句なくおすすめ。ボリュームのわりに2000円とお値段もリーズナブルです。   
池澤夏樹個人編集
日本文学全集
17
堀辰雄・福永武彦・中村真一郎
河出書房新社 ハードカバー 2015.3.30

★★★
西欧文学を学び、日本の古典に赴いた知の作家たち。豊かな言葉をもって、巧みな手法で物語を紡ぐ
収録作品:かげろうの日記/ほととぎす 
       (福永武彦作品・深淵/世界の終り/廃市)(中村真一郎作品・雲のゆき来)
解説:池澤夏樹 年譜:鈴木和子
月報:「行き来する言葉」堀江敏幸/「純粋と疾走の短編たち」島本理生

「文学全集」なるものはもはや前時代の遺物…かと思われたこの平成の世に彗星のごとく現れた斬新な文学全集。「古事記」を皮切りに実験的な新訳が話題の古典文学シリーズ、そして定番作家があえて外されている謎チョイスが興味を引く近現代文学シリーズ。堀辰雄とその門下生で構成されるこの巻も、ふつうの文学全集ならはじかれてたかもしれないマイナーメンバー。収録作品も彼等の代表作からちょっとはずしてる。堀作品の古典ものならふつう「姨捨」「曠野」あたりなのを、なぜか「かげろうの日記」「ほととぎす」。鬱々とした女心の描写が苦痛であまり好きじゃなかったけど、あらためて読んでみると、「(師の芥川作品に比べて)ずっと原典に近くて、しかし人の心のふるまいを記述するという点でずっと精密になっている」(巻末の池澤氏解説より)堀古典の特長が生きた作品であることに気づきます。そんな堀辰雄と、彼に学び、そこから独自の作風を開花させた福永・中村両氏の作品がこの一冊で読めるというのは得難い幸せ。ちなみにこの巻の一ヶ月後に出た14巻「南方熊楠・柳田國男・折口信夫・宮本常一」民俗学メンバー巻の巻末には、堀辰雄「大和路・信濃路」の一節が引用されており、彼が描こうとした「古代の小さな神々」の姿を日本各地の習俗から推測して描くのが民俗学であり、日本文学の古典はそのための必須の素材であり、ゆえに文学と民俗学は非常に近いのだという解説がなされてます。
堀辰雄初期ファンタジー傑作集
羽ばたき

長山靖生・編
彩流社 ハードカバー 2017.2.25

オススメ!★★★★★ 
宮崎アニメにも多大なる影響を与えた堀辰雄の初期傑作が、読みやすい新仮名遣いによって甦る!「風立ちぬ」などのサナトリウム文学のイメージを一新するように、堀の初期の作品には、しばしば天使や妖精が出てくる。空を飛ぶイメージと共に、水の中を漂い泳ぐイメージを伴う作品も少なくない。そのいずれにも軽やかな浮遊感がある……。静謐で摩訶不思議な世界に、浸ってみたい。
収録作品:死の素描/羽ばたき/鼠/ある朝/夕暮/風景/眠りながら/蝶/あいびき/土曜日/窓/ネクタイ難/ジゴンと僕/水族館/眠れる人/とらんぷ/Say it with Flowers/ヘリオトロープ/音楽の中で/刺青した蝶/絵はがき/魔法のかかった丘/
解説:「天使と妖精たちのモダニズム」長山靖生

堀辰雄の初期作品(習作含む)をファンタジー作品集としてまとめた一冊。えっ「ファンタジー」?私は堀文学にファンタジー要素をあまり感じない。たしかに天使・妖精等といったキーワードはフワフワ甘いイメージだけど、その内容はとことんクールな心理小説。ちゃんと地に足がついている。でもこうしてファンタジーと言い切られて一冊の本にまとめられると、そして読みやすい新仮名遣いになると、何かまったく新しい、たしかにどこか風変わりなファンタジーとして、初期作品にはちょっと冷たい私ですらおもしろく読めてしまうのがふしぎ。何より、ただでさえマイナーな作家堀辰雄の、よりマイナーな初期作品がこのような形で日の目を見るのはとてもうれしいことです。解説も読みごたえがあります。「羽ばたき」の登場人物ジジとキキが「魔女の宅急便(原作)」のネーミングの元ネタだったとは初めて知りました。もしかして?とは前々から思っていましたが。「宮崎アニメにも多大なる影響を与えた」と帯で断言するだけのことはあります。

堀辰雄作品(文庫本)
タイトル・著者 出版社 形態 発表年(初出)
燃ゆる頬・聖家族 新潮社 文庫 S22.11.30
 
★★★
純粋な魂をもち、洗練された都会人として生れた堀辰雄は、その詩人としての資質と、日仏両文学への深い造詣を生かして、みごとな抒情的散文を書いた。本書には、ようやく他人の生活の中で息づく術を自覚し始めた少年期から青年期にかけての学生を主人公とした『麦藁帽子』『燃ゆる頬』、これに続く青年期を描く『聖家族』『ルウベンスの偽画』など、みずみずしい初期の作品を収録した。
収録作品:麦藁帽子/燃ゆる頬/聖家族/ルウベンスの偽画/恢復期/旅の絵/鳥料理/

解説:丸岡明
新潮文庫の堀辰雄初期作品集。私の持ってる本は平成9年8月15日・56刷。でも現在絶版。ちょっとーお願いしますよ新潮社さん!   
風立ちぬ・美しい村 新潮社 文庫 S26.1.25

オススメ!★★★★★
風のように去ってゆく時の流れの裡に、人間の実体を捉えた『風立ちぬ』は、生きることよりは死ぬことの意味を問い、同時に死を越えて生きることの意味をも問うている。バッハの遁走曲に思いついたという『美しい村』は、軽井沢でひとり暮しをしながら物語を構想中の若い小説家の見聞と、彼が出会った少女の面影を、音楽的に構成した傑作。ともに、堀辰雄の中期を代表する作品である。
〈オビ〉それは死の味のする幸福だった――サナトリウムで育まれた奇跡的な愛。繊細な心理を捉えた傑作2編。

収録作品:美しい村~序曲・美しい村・夏・暗い道~/風立ちぬ~序曲・春・風立ちぬ・冬・死のかげの谷~/

注解:谷田昌平
堀辰雄・人と作品:中村真一郎
解説:「『風立ちぬ・美しい村』について」丸岡明
年譜:編集部

平成23年に改訂版(表紙も一新)が出たこの時点で115刷。貫録の売れ行き。恩師堀辰雄への愛と敬意に満ちた中村真一郎の作家作品ガイドもいいし巻末に年譜もついててお得。新潮文庫の堀辰雄シリーズのエース的一冊です。    
かげろふの日記・曠野 新潮社 文庫 S30.9.25

★★
 
コクトーやラディゲに出発し、フランス文学の伝統をわが国の近代小説に加味した堀辰雄は、一方ではリルケと折口信夫という二作家を媒介として、王朝物語から「万葉集」へとさかのぼってゆく。本書は、王朝文学に見られる古い日本の女性の生き方に魅せられた著者が、大和や木曽路を訪れた折の感動を秘めて描く名作『かげろふの日記』『ほととぎす』『姨捨』『曠野』などを収録した。
収録作品:七つの手紙/かげろふの日記/ほととぎす/姨捨/曠野/

解説:丸岡明
古典を題材にした作品を主に集めた一冊。私の手元にあるのは昭和53年8月10日・30刷。現在絶版。せめて名作「曠野」だけでもほかの刊行中の文庫本に抱き合わせで収録してほしいな~
幼年時代・晩夏 新潮社 文庫 S30.8.5

★★ 
自らの幼時のかずかずの思い出のうちに、幼年時代というものの姿の本質をつきとめようとした『幼年時代』は、『無花果のある家』から『エピローグ』に至る各編が集合し、一つの物語を構成している。父の死にあい、自らの生いたちの秘密を知った感動から生れた『花を持てる女』、結婚後の落ち着いた曇りのない生活を流れるように綴った『晩夏』。ほかに『三つの挿話』『朴の咲く頃』を収録。
収録作品:幼年時代/三つの挿話~墓畔の家・昼顔・秋/花を持てる女/晩夏/朴の咲く頃/

解説:丸岡明
私の手元にあるのは昭和51年9月5日・25刷。これも絶版…せめて「晩夏」だけでもほかの文庫本に…!   
菜穂子・楡の家 新潮社 文庫 S23.12.15

★★ 
もの静かな品よくくすんだ感じの老婦人と、その娘で、新しい時代に生き、もっと現実的な生き方を望みながら、自己の中に潜む母と同様なロマネスクな気持に苦しめられ出すような一人の若い女を描こうと思った――七年の歳月をかけて成った『菜穂子』には、作者の生への意志が秘められている。ほかに、その続編ともいうべき『楡の家』、人間の孤独をテーマとした『ふるさとびと』を併録。
収録作品:菜穂子/覚書Ⅰ/覚書Ⅱ/楡の家/ふるさとびと/

解説:丸岡明
私の持ってるのは昭和61年9月20日・62刷。こっちはまだ刊行中。よかった。でも個人的には菜穂子シリーズよりも「燃ゆる頬・聖家族」のほうが時代を問わない普遍性がある(と思う)ので文庫本再版してほしい。ついでに「曠野」「晩夏」もカップリングして改訂版として出してくれるともっと嬉しい。ねっ新潮社さん。
平成25年6月の改版より、表紙デザインが一新され、収録作品の並びも変更されました。「楡の家」がトップに収録されています。解説も谷田昌平氏のものに替わりました。
大和路・信濃路 新潮社 文庫 S30.10.30

★★★ 
許婚者を失った心の孤独を描く『雉子日記』、立原道造を追悼する『木の十字架』、リルケの「ドゥイノ悲歌」と日本の古い叙景歌に見られるレクイエム的要素の比較に強い関心を示した『伊勢物語など』、旅の感動を作意なく綴る『大和路』と『信濃路』、最後の傑作『雪の上の足跡』など。堀辰雄文学を理解するための重要な鍵であり、彼の思索と文学的成長の跡を示すエッセイと小品を収録した。
収録作品:狐の手套(一、芥川龍之介の書翰に就いて 二、「文芸林泉」読後 三、クロオデルの「能」)/雉子日記(雉子日記 続雉子日記 雉子日記ノオト)/フローラとフォーナ/木の十字架/伊勢物語など/姨捨記/大和路(十月 古墳 浄瑠璃寺の春 「死者の書」)/信濃路(辛夷の花 橇の上にて)/雪の上の足跡/

解説:丸岡明
エッセイ・小品をメインに集めた一冊。けっこうマニアックなのも入ってる。私の持ってるのは平成4年3月15日・52刷。こちらも好評刊行中。今後もお願いしますよ新潮社さん。ちなみに新潮社の文庫本は作家ごとに背表紙の色が異なり、その色は作家のイメージカラー(新潮社の独断?)になってるらしい。(※らくがきコーナーにこれをネタにしたあほな絵を描いてます)堀辰雄はごくオーソドックスな白、でもたしかに彼は汚れなき純白のイメージ。そしてタイトルと著者名の間に葉っぱのイラストがあしらわれてるのが大きなポイントです。背表紙にイラストがついてる作家はたぶん堀辰雄だけ。書店ではぜひこの葉っぱを目印に。  
風立ちぬ・美しい村・麦藁帽子  角川書店 文庫 S25.10.20

オススメ!★★★★★
その年、私は療養中の恋人・節子に付き添い、高原のサナトリウムで過ごしていた。山の自然の静かなうつろいの中で、私たちは微笑と会話を交わしあう。しかし節子は、日々透き通るように弱々しくなってゆく……。死を見つめながら、限られた日日の中でお互いを感じあう恋人たちの生の幸福を、季節の流れと共に描きとめた名作「風立ちぬ」のほか、「美しい村」「旅の絵」「鳥料理」「『美しい村』ノオト」を収録する。
収録作品:美しい村/麦藁帽子/旅の絵/鳥料理/風立ちぬ/『美しい村』ノオト/

解説:「堀辰雄―生涯と文学」丸岡明/「作品解説」河上徹太郎・矢内原伊作/
    「軽井沢と死のにおい―堀辰雄の作品をめぐって」柴田翔
    「堀辰雄抄―『風立ちぬ』に思うこと」堀多恵子

堀辰雄とは創立時からゆかりの深い角川書店、新潮社に負けじと文庫のラインナップも充実(全6冊)、してたんだけど現在刊行中の文庫はこの一冊のみ。くぅ。収録作品の並びが若干不可解(「美しい村」と「風立ちぬ」の間に「麦藁帽子」「旅の絵」「鳥料理」を挟むとは!)だけど、5名による作品解説はボリュームたっぷりで読みごたえあり、とくに多恵子夫人の寄稿にはしみじみと感じ入るものがあります。
大和路・信濃路  角川書店 文庫 S35.12.15

★★★★
古典的な美への憧憬と、そこに近代的な感覚による鎮魂歌を求めて作者は大和路を歩いた。「大和路」はその折々の感慨を書きとめたものだが、同時に小説「曠野」へのアプローチでもある。同じく旅の記録「信濃路」。その他「炉辺」、折口信夫宛の手紙「『古代感愛集』読後」、戦後唯一の作「雪の上の足跡」を収む。
収録作品:大和路・信濃路(樹下 十月 古墳 斑雪 辛夷の花 浄瑠璃寺の春 橇の上にて 「死者の書」)/炉辺/「古代感愛集」読後/雪の上の足跡/

解説:「堀辰雄―人と作品」小久保実/「作品解説」角川源義/「堀辰雄抄―大和の旅」堀多恵子
主要参考文献  年譜

堀辰雄の辿った大和路を紹介する巻頭グラビアつき。収録作品に「『古代感愛集』読後」(※戦後に堀辰雄が折口信夫に宛てた手紙)併載、作品解説には角川源義。ひそやかに、しかし明確に角川オリジナルを打ち出した角川版「大和路・信濃路」、新潮文庫のほうで取りこぼしてる小品などを収録してぜひとも改版・再販を!
菜穂子・楡の家  角川書店 文庫 S43.7.30

★★★
「菜穂子の後なお大作のありけりとそらごとだに我に聞かせよ」と釈超空をして嘆ぜしめた「菜穂子」は、不条理の生を生きる男女を描く心理のロマネスク。堀個人のというより昭和文学の到達した頂点である。その前奏曲である「楡の家」、「朴の咲く頃」、「ふるさとびと」を併載。
収録作品:菜穂子/楡の家/朴の咲く頃/ふるさとびと/

解説:「作品解説」加藤周一/「『菜穂子』と《ロマン》への志向」小佐井伸二/「堀辰雄抄―『菜穂子』を読んで」堀多恵子
主要参考文献  年譜

初めて「菜穂子」を読む人は、その尻切れトンボな終わり方にとまどうはず。「菜穂子」は構想段階ではもっといろんなエピソードが盛り込まれた奥行きある大長篇《ロマン》小説になるはずでした。そのことが巻末の解説で明かされてます。堀辰雄が多恵子夫人に語ったという「菜穂子も(菜穂子の幼なじみの)明もおれの分身なのだ」という言葉も、この作品を読み解く鍵のひとつ。角川文庫シリーズは解説が充実、ことに多恵子夫人の文章が載ってるのが大きな魅力です。
風立ちぬ・聖家族 旺文社 文庫 S40.11.10

★★★★
 
「今もなおこうして私たちの生き続けている生活にはどんな結末だって与えたくはない」婚約者節子の死に直面したとき、「私」は、「生」が死という事実を超えて存在するということを理解する。――散文で書かれたもっとも純粋な詩であり、堀辰雄自身の体験から生まれた愛と死の美しい鎮魂歌。他四編。
収録作品:風立ちぬ/聖家族/花を持てる女/浄瑠璃寺の春/曠野/

解説:中村真一郎  「堀辰雄に学んだこと」福永武彦/「堀さんの思い出」山室静/
代表作品解題 参考文献 年譜

中村真一郎の明解な解説、福永武彦・山室静の愛たっぷりの寄稿、代表作品解題や参考文献、また年譜もついてて、本編以外の部分にやたら気合い入ってるレアで豪華な一冊です。自宅の古い書棚から発掘。  
風立ちぬ  集英社 文庫 1991.9.25

オススメ!★★★★★ 
病に冒された婚約者の節子につき添い、〝私たち〟は高原のサナトリウムで、風変わりな愛の生活を始めた。小鳥がさえずり、山はバラ色に輝き、死のかげにおびえながらも、二人は残された時に幸福のすべてを見いだそうとする…。著者の体験に基づいて描かれた代表作「風立ちぬ」ほか三編を収める。
収録作品
窓/麦藁帽子/風立ちぬ/曠野/
語注:小田切進
解説:――内部へ、そして内部から 池内輝雄

鑑賞:
――生きようとする祈り 氷室冴子
年譜:池内輝雄

「青春必読の一冊」集英社文庫ヤング・スタンダードシリーズの一冊。巻頭4ページにわたる作品案内グラビア、読みやすい大きめの文字、細やかな語注、写真つきの年譜。若年層向けの文庫らしく、とっつきやすい仕様です。収録作品四編はいずれも(一応)恋愛もの。でもこうして並べてみると同じ恋愛ものでもそれぞれみごとにテイストが異なるのがわかる。そして鑑賞は氷室冴子!ありがたや。どっかで聞いた話だけど氷室冴子のペンネームは堀辰雄由来(追分の氷室)というのは本当なんでしょうか。  
ちくま日本文学全集 堀辰雄 筑摩書房 ソフトカバー文庫 1992.3.20

 ★★★★
風立ちぬ、いざ生きめやも。/年をとっても老いなかった。歩くとき、まるで目に見えない風に吹かれるように体が少し揺れた。堀辰雄ほど、その生活と語法とが、まるであつらえた服のようにぴったりと身に合っていた人もいないのだ。
収録作品:鳥料理/ルウベンスの偽画/麦藁帽子/燃ゆる頬/恢復期/風立ちぬ/幼年時代/花を持てる女/姨捨/曠野/樹下/
解説:窓よ、ひたすら待つ者のよるべきところ 池内紀
年譜:編集部

文庫本サイズのちくま日本文学全集。変化球マイナー作「鳥料理」ではじまって代表作「聖家族」「菜穂子」等はしれっとスルー、二軍選手ポジションの「恢復期」「姨捨」等が堂々スタメンという、なんだか煙に巻かれたような気分になる一冊。でもこのラインナップはけっこう好き。堀ファンになった初期にこの本を手に入れ繰り返し読んでたので、個人的に思い入れが強いのです。解説文がまた痛快でおもしろい。大きめ文字でルビもついてて読みやすく、さらに各ページごとに注釈がついてるという親切な仕様。   
雉子日記 講談社 講談社文芸文庫 1995.5.10
 
★★★
『風立ちぬ』の最終章「死のかげの谷」完結までの数年、軽井沢滞在等の中で折り折りに綴られたエッセイ集。浅間の高原の四季への想い。読書の日々。生涯にわたって最も深く影響をうけたリルケをめぐる「リルケ雑記」。療養しつつ清冽なリリシズム漂う作品を残した堀辰雄の死に立ち向かう健康的で強靭な精神の持続が生んだ名品。
収録作品:木の十字架-序に代えて-
雉子日記(雉子日記 続雉子日記 春日遅々 緑葉歎 夏の手紙・立原道造に 牧歌・恩地三保子嬢に 初夏の浅間 七つの手紙・或女友達に)
山の家にて(卜居・津村信夫に 萼の花 巣立ち-或牧歌- 山日記 山日記・又)
読書の日々(ヴェランダにて 山の宿にて クロオデルの「能」 Ombra di Venezia ゲエテの「冬のハルツに旅す」 リルケの「窓」 更級日記など-日本の古典に就いての若干の問に答えて- 魂を鎮める歌-いかに古典を読むかという問に答えて-)
リルケ雑記(巴里の手紙 或外国の公園で リルケとロダン 一挿話 トレドの風景 或女友達への手紙 リルケ年譜 巻末記)
解説:人と作品 池内輝雄
年譜:大橋千明
著書目録:大橋千明

ほかの文庫本では扱わないコアな純文学作品を刊行する「講談社文芸文庫」シリーズの一冊。このシリーズ、文庫本なのにいやに値が張る。でも大好きな小品「巣立ち」が入ってるので、買わずにいられなかった。   
風立ちぬ・ルウベンスの偽画 講談社 講談社文芸文庫 2011.12.9

 ★★
生と文学。強くしなやかな精神。堀辰雄の普及の作品集。/婚約者への愛と、サナトリウムの生活、そして死を描いた名作「風立ちぬ」。著者の文学のテーマともいうべき「楡の家」(「物語の女」の改稿)は、やがて「菜穂子」へと続く…。ぎりぎりの生と文学の美しさと、またその底流を支える強靭な精神。堀辰雄の原点ともいえる作品集。
収録作品:ルウベンスの偽画/不器用な天使/花を持てる女/楡の家/風立ちぬ/
解説:「昭和の文学 堀辰雄」…対談・佐多稲子・佐々木基一・小久保実(※「群像」昭和50年4月号抄録)
年譜:大橋千明
著書目録:大橋千明

また出たボッタクリ文庫「講談社文芸文庫」!1300円だとう!?文庫本のくせに!でも買っちゃうんだもんなあ。代表作「風立ちぬ」にビミョー作「不器用な天使」、そして「菜穂子」ではなく「楡の家」のほうを収録したバランスがいいんだか悪いんだかよくわからないセレクト。それはともかく巻末の対談コーナー(※雑誌の再録)が非常に読みごたえがあって満足です。   
風立ちぬ 株式会社SDP 文庫 2008.9.21
 
夏の高原で私は少女・節子と出会った。運命的な出会いを感じた私たちは結婚を約束する。しかし、節子は病に侵され、その幸せは長くは続かなかった…。その後、私は彼女の無償の愛を知ることに。愛と死と生をテーマとした、悲しくも美しい調べが心を駆け抜ける。
収録作品:風立ちぬ

表紙と巻頭グラビアにスターダストピクチャーズ(SDP)の若手女優・俳優を採用した作品集「SDP Bunko」の一冊。「風立ちぬ」の表紙を飾るのは「大政絢」さん。全然知らない人だけど、なかなかいい雰囲気。小説とタレントグラビア以外は解説も何もないそっけない中身だけど、こういうコラボ企画に堀作品が採用されるのはファン心理として純粋にうれしい。が!おい!「冬」の章の終盤が思いっきり省略されてるぞ!あのパートがあるとないとじゃ全然読後感がちがう。素で抜かしたのかわざとなのか。どっちみちこれでは人にオススメできない。残念。   
聖家族 株式会社SDP 文庫 2008.11.17
 
★★
九鬼が死んだ。周囲にはその死を乗り越えられない人々がいた。死に疎遠だった彼らを互いに親密にさせていくが…。生きることの答えは見つけられるのか!?この作品に登場する九鬼は師と仰ぐ芥川龍之介を、篇理は堀辰雄自身をモデルにしたと言われている。他「美しい村」収録。
収録作品:聖家族/美しい村(序曲 美しい村 夏 暗い道)

「SDP Bunko」の堀辰雄作品二冊め「聖家族」。表紙は「葵」さん。やっぱり全然知らない人だけどべっぴんさん。堀作品の文庫本を2種も出してくれるとはセンスのいいシリーズだ。でも「風立ちぬ」文庫本の冬の章省略の件はやっぱり納得いかん…。   
風立ちぬ ぶんか社 文庫 2009.7.1

 ★★★
私と節子は高原のサナトリウムで、死の影におびえながらも愛の生活を営んでいた。残された時間の中に、幸福の姿を見出そうとするように…。作者自身の体験をもとに、静謐な純愛の世界を描き出した作品。
収録作品:風立ちぬ
語注

こちらはアイドルグループAKB48とのコラボ企画文庫。扱う作家は夏目漱石、宮沢賢治、太宰治、中原中也、そして堀辰雄。漱石・賢治・太宰・中也といった定番人気メンバーに堀辰雄が加わってるのがすばらしい。AKBは全然知らないんだけど「風立ちぬ」表紙&グラビアの子(小野恵令奈さん※AKB卒業済)は清楚なセーラー服姿がかわいくて非常によろしい。夏の文庫本フェアで書店に並んだこのシリーズを目にするたび「風立ちぬの子がいちばんかわいい」と悦に入ってた。   
風立ちぬ  角川春樹事務所 文庫 2012.4.18

★★★
共に病に冒されている「私」と婚約者・節子。彼女に付き添ってやってきた、美しい自然に囲まれた高原のサナトリウムで、ふたりの「少し風変わりな愛の生活」が始まる。死の影におびえながらも、残された時間を支えあいながら生きる幸福。そして、ふたりだけが知っている生の愉しさ――。作者自身の体験をもとに書かれ、〈風立ちぬ、いざ生きめやも〉の一節が印象に残る不朽の名作は、いまも私たちに、生きることと死ぬことの意味を静かに問うてくる。
収録作品:風立ちぬ
エッセイ:宮下奈都
語註 略年譜

「280円で名作を読もう!」ハルキ文庫シリーズの一冊。格安文庫ながら略年譜もついてるし(しかし略しすぎ)、解説がわりのエッセイもいい。「風立ちぬ」だけを手っ取り早く読みたい、でもガイド(解説や註釈)一切なしというのは心もとないという人におすすめの一冊です。
風立ちぬ/菜穂子 小学館 文庫 2013.11.11

★★★
宮崎駿監督、最後の長編アニメ映画となった「風立ちぬ」。大ヒットを記録したこの作品のモチーフとなったのが堀辰雄の名作小説「風立ちぬ」だ。重病に冒され、高原のサナトリウムで療養を続ける節子。婚約者である「私」は、美しい自然の中で、生と死に向き合いながら、献身的に節子を支える。〈風立ちぬ、いざ生きめやも〉有名な詩句に託された二人の運命。不朽の恋愛小説に再び光が当てられた。これも映画「風立ちぬ」のヒロインの名前ともなっている小説「菜穂子」も同時収録。「僕等がいた」の小畑友紀さんの描き下ろしたカバーイラストとともにお読みください。
収録作品:風立ちぬ/菜穂子(楡の家/菜穂子)
解説:榎本秋
年譜

紹介文からして宮崎駿監督映画「風立ちぬ」に便乗したのがみえみえな文庫本。しかし「風立ちぬ」と「菜穂子」を同時収録した文庫はいままでなかったので、映画「風立ちぬ」で堀辰雄に興味を持った人たちのニーズにはしっかり応えているし、堀ファンとしても堀文庫のバリエーションが増えるのは単純にうれしい。アニメ映画(風立ちぬ)から堀辰雄の文学を読み解くという、ふつうの文庫巻末だったらありえないスタイルの解説も新鮮でおもしろい。ただ、生きめやも」じゃないいざ生きめやも」だよっ!
燃ゆる頬/風立ちぬ朗読CD付 海王社 CD付文庫 2015.7.10

★★
高等学校に入学した「私」は両親の勧めで寄宿舎に入った。そこで同室になった一つ年上の同級生・三枝は静脈の透いて見えるような美しい皮膚と薔薇色の頬の所有者だった。彼は上級生の魚住と親密だったが、やがて「私」との関係も深まっていく――。寄宿舎を舞台に少年たちの友情を超えた関係を描く「燃ゆる頬」、生きることと死ぬことの意味を問う「風立ちぬ」を収録。
収録作品:燃ゆる頬/風立ちぬ
語注
朗読CD:燃ゆる頬P8~P18

近代文学の朗読CD(※抜粋)つき文庫シリーズ、堀辰雄作品からは「燃ゆる頬/風立ちぬ」。併記されてるけど朗読は「燃ゆる頬」のほうのみ。表紙絵の感じからしても「燃ゆる頬」推しで「風立ちぬ」はおまけなのは明白です。私は自分のペース&イメージで読みたい派なので朗読CDにはあまり興味ないんですが、「大和路・信濃路」や「風立ちぬ」なら聞いてみたいかなとは思う。「燃ゆる頬」はきついです。恥ずいっす。聞いてられるかっ!堀辰雄本人も「燃ゆる頬」のラジオ朗読が流れた際途中でラジオを切ってしまったほどのしろものだ。やめたげてよぉ!いや、まあ、でもどんなかたちでも堀辰雄作品がこうしてひとりでも多くの人に知ってもらえるきっかけになるのはいいことだと思います。(と自分に言い聞かせる)※朗読の人の声やトーンはよかったと思います

堀辰雄作品(漫画・絵本等)
タイトル・著者 出版社  形態 発表年(初出)
 文芸まんがシリーズ26 風立ちぬ 株式会社ぎょうせい  ハードカバー 1992.4.25 
   
★★★
人はどこまで愛しあえるのか 不治の病におかされたヒロイン・節子と、その生と死を静かにみつめ続ける私。高原のサナトリウムを舞台に、運命を生きる二人の心をこまやかに、詩情あふれる言葉でつづる、宝石のような愛の物語。
収録:まんが「風立ちぬ」(作画・田丸ようすけ)
解説:池内輝雄
略年譜

日本の名作文学の魅力を子供達にわかりやすく伝える「文芸まんがシリーズ」の一冊。原作の雰囲気を味わってもらう配慮から、モノローグやセリフなど文章部分は原作からほぼそのまま引用。しかし、だから、おもしろくない。マンガの易しさが文章の難解さを引き立ててしまってる。堀辰雄のあの独特の長々とうねるような文体がマンガのコマに収まると、なんともいえず息苦しく、小説として読む以上に難解な文章に思えちゃう。キャラクターや風景の描写は細やかで原作の世界観が誠実に再現されているので、マンガそのものに不服はない。強いていうならヒロイン節子のキャラが大人っぽすぎてなんかさびしい。もうちょっとかわいい系がいい。(※個人の好みです)名作文学マンガとしての出来はいい、でも若い世代へのアピールとしてはどうかなあ。今時の小中学生がこの難解セリフ&哲学的モノローグ頻出のマンガ読んで、よし原作本も読んでみよう!と思ってくれるかなあ。いや、そこをなんとか。読んでください。がんばれ!
アニメ日本の名作6 風立ちぬ 金の星社 ハードカバー 1997.8

★★★
秋近い夏の日の午後――。草原でひとときをすごすわたしたちのまわりで、風がふいた。「風立ちぬ、いざ生きめやも。」そんな詩の一節が、ふと口をついてでた。きみはふりかえって、にっこりほほえんだ……。
もくじ:高原の村/初夏の出会い/野ばらの道で/風立ちぬ/生きられるだけ生きよう/山のサナトリウム/うつくしい夕暮れ/不安な一夜/きみのことを書きたい/秋の音/ふたりだけの病室/わかれのとき/
対象年齢:小学校3・4年生から

「アニメ日本の名作」全10巻シリーズの一冊。テレビアニメーション映画を書籍化したもの。アニメ化されてたとは知らなんだ。ぬかった今さらだけどDVD化してくれないかな?ジブリ映画に便乗してそれなりに売れるかもそれはともかく、こちらはまたキャピキャピの少女マンガだよ(昭和テイストの)!節子はかわいくて当然のキャラだからどれだけかわいくても違和感はないけれど、堀さん役の主人公青年が、これまた少女マンガの典型的ハンサム(「イケメン」ではない)君。いや、いいけどブサイクに描かれるよりかは100万倍いいけど。文章は低年齢向けにわかりやすくゴッソリ書き換えられていて、読みやすいことこの上なし。若年層や興味ない層に原作を読ませるきっかけをつくるという意味では、こういう「だまし」もアリなのかもとすらすらラクチンに読み進めながらつい思う。    
なめこ文學全集③ 幻冬舎 ソフトカバー 2013.9.24

★★★★
文学、んふんふ。堪能、んふんふ。シリーズ累計3300万ダウンロードのメガヒット!アプリ『おさわり探偵なめこ栽培キット』で人気爆発のなめこが、名作文学の世界をマンガで愛らしく再現。『羅生門』『舞姫』『風立ちぬ』などの名作文学の世界を、なめこと一緒に楽しんでね♥
もくじ:「ごんぎつね」新美南吉/「羅生門」芥川龍之介/「舞姫」森鴎外/「高野聖」泉鏡花/「風立ちぬ」堀辰雄/「やまなし」宮沢賢治/「南総里見八犬伝 後編」滝沢馬琴/「カインの末裔」有島武郎/作品解説/(漫画・小鳩まり)

なんか世間ではなめこのキャラが流行ってるらしい。「なめこ」について私はその程度の認識しかありません。そんななめこで文学を紹介するというのだから、堅苦しい文芸作品をかたっぱしから脱力ギャグにしまくるおふざけシリーズだと思ってました。しかし意外や意外、かなり絶妙に作品のニュアンスを表現してます。まあ登場人物が全部なめこな時点でどうしてもシリアス度はさがるけど。なめこで「風立ちぬ」。そんなばかな。なめこの節子、なめこの「私」。彼らのせつない、けなげな愛が、存外ちゃんと伝わってくる。なめこなのに。んふんふ言ってんのに。なめてかかって読み始めただけに、なんかくやしい、でも得したようなへんな気分。とっつきづらい文学作品に対するハードルをさげてくれることは確かです。
燃ゆる頬 ジュネットコミックス  マガジン・マガジン コミック単行本 2014.11.29

彼は、脊椎カリエスで一年休学した、一つ年上の同級生。蝋みたいな肌に、薔薇色の頬…別世界の住人のような佇まい。誘う彼。惹かれる僕。花に蕩ける蜜蜂のように。「…ね、次はもっと深く…してみない?」僕の射精を口で受け止めながら、彼は――。それは性愛なのか、恋愛なのか。小野塚カホリが描く、堀辰雄が記した脆く儚い思春期の秘め事。17歳。ここは寄宿舎。転室生は晩生(おくて)な僕を性に導く。
漫画:小野塚カホリ/「燃ゆる頬」第1話/第2話/第3話/第4話/第5話/最終話/あとがき
だから~、やめたげてよぉ!「燃ゆる頬」のコミカライズなんて。しかもBL(ボーイズラブ)。BLコミックを差別する気はありません。文芸作品をBLにしちゃうのもモノによってはありだと思います。でも堀辰雄はだめなんです。「燃ゆる頬」はそりゃテーマとしてはがっつりBLです。しかし読んでみればわかろうものを、性の目覚めを描きながら性描写をどれほど遠ざけているか。堀文学は羞じらいの文学です。露骨描写はNGです。それをズバリやっちまったこの作品は堀文学のコミカライズとは呼べません。なので、「堀辰雄が書いた同性愛・寄宿舎・エロス・美少年云々」とか帯カバーでデカデカあおらないでよぉ!「ね、次はもっと深くしてみない?」こんなセリフもシーンも原作には一ミクロンもないよぉ!ああ~もおぉぉお。堀作品を汚されたとまでは思わないけど、ただただ、いたたまれない。むしろこんな題材与えられて漫画家さん難儀しただろうなと気の毒にもなる。そもそも堀文学のコミカライズなんて難易度高すぎ。全盛期の萩尾望都か大島弓子あたりしか手に負えまいて。

 
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